1974年、DJであるアフリカ・バンバータが「アフロ・アメリカンが文化(音楽・ファッション・アート)を
取り入れ、新しいスタイルを生み出すこと」を“HIP HOP”と呼称したのが語源と言われている。
この日が11月12日とされており、11月は“Hip Hop History Month”として祝う習慣がある。
ブロンクスの集合住宅の娯楽室や野外の公園で近所の人達とやっていたパーティ(通称:ブロック
パーティ)で、サウンドシステムを組みサウンドを作り出すDJ、その音に合わせ様々なアクロバティ
ックな動きを展開するブレイク・ダンス、そのサウンドに合わせ滑らかに激しく語るラップ、地下鉄
車両や建築物に巨大な極色彩の絵画を一夜にして描くグラフィティ・アートは、ブラックコミュニティに
生きる若者達の表現方法として、文化になっていった。
その後、このシーンを表現する映画で、Hip Hopはカルチャーとして広がり、レコード化されたラップ
アーチスト達の作品は世界中に存在を広げ、ラジオにのって彼らのメッセージは伝わり、NY中を走る
電車に描かれたグラフィティは多くの人の目に留まり、ブレイキンは世界中に広がり、世界大会が
開催されるまで成長していく。
HIP HOPは年代によって、スタイルが分けられている。
■Old School (1970年代〜1986年)
■Middle School (1986年〜1992年)
■New School (1992年〜現在)
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ジャマイカからブロンクスに移動してきたDJ“クール・ハーク”のブロックパーティで、間奏部分の
10〜15秒を2台のターンテーブルを使い交互につないで出していく“ブレイク・ビーツ”が始まった。
これはやがて、Hip Hopの大きな原動力となっていく。
その後、“グランドマスター・フラッシュ”が、レコードを前後にこすることによって出てくるノイズを
ミキサーでMIXしていく“スクラッチ”を生み出したことで、Hip Hopサウンドの原型が出来上がる。
さらに様々なジャンルを“アフリカ・バンバータ”が取り入れ再構築することで、“リミックス”的感覚が
生み出されていく。
Hip Hop誕生に欠かせない3人のDJの手により、今までのディスコで音楽を流すDJ達と全く違う
感覚で、クリエイターとしてスタートを切ることになる。
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Kool Herc [クール・ハーク]
12歳の時ジャマイカからブロンクスに移動し、友人達と編成した“ハークロイズ”は
70年代半ばに、ブロックパーティを開催し、“ブレイク・ビーツ”を用いたDJスタイル
を確立する。
映画“Beat Street”にも出演し、彼のパーティに出演していたCoke La Rockは
最初のMCの1人とも言われ、Rap、B-Boy達に多大なる影響を与えることになる。 |
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Grandmaster Flash [グランドマスター・フラッシュ]
バルバドスに生まれブロンクスに育った彼は、弟がレコードで遊んでいるのを見て
スクラッチを開発。先輩DJ、Pete Joneを見てモニターを使い、リズムボックスなど
を使用するなど、今のHip Hop DLの原型を作り出す。
映画“Wild Style”で彼のプレイは語り継がれていった。 |
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Afrika Bambaataa [アフリカ・バンバータ]
ブロンクス・リバー地区に育ち、地元のギャング団ブラック・スペイズのメンバーだ
ったが、母親が音楽マニアだったため影響を受け、“マスター・オブ・ザ・レコード”と
呼ばれるくらい、様々なジャンルのレコードを持っていた。様々な音源をミックスし
DJバトルを生き抜き、支持を得る。
暴力でなくブレイクダンスやラップ、DJバトルでカタを付けることを提唱する“Zulu
Nation”を組織する。
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Breakin'とは、ブレイクダンスのことで、B-Boyingと呼ぶ人も多い。
B-BOYとは、Breakin' Boyの略であり、体の全ての部位を使ってアクロバティックなオリジナルの動き
(ムーブ)を生み出し、踊るダンスのことである。
元々ブロックパーティのブレイクビーツに合わせ踊っていた彼らは、バトルという形式で自分や自分達の
チーム(クルー)を競うようになり、発展していく。
■世界3大ブレイクダンスバトル
BC One
創成期の1970年代〜80年代の頃主流であった、1on1スタイルのブレイクダンスバトル。
2004年スイスで第一回大会が行われ、毎年1回開催されている。
2008年フランス大会では、日本人のB-Boy“taisuke”が準優勝に輝いた。
Battle of the year
クルー(チーム)対抗によるB-Boyingのバトル。
1990年から毎年10月にドイツのブラウンシュヴァイクで開催される“Show side”と“Battle side”に
分かれ“Show side”上位4チームのトーナメント方式がとられている。
UK B-Boy Championships
イギリス・ロンドンで開催され、Poppin' Solo、Lookin 2on2、B-Boy Solo、B-Boy Crewと、様々な
ジャンルのバトルが展開される。
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1969年頃、ブロンクスの“TAKI 183”というグラフィティアーチストが登場。
地下鉄の操車場(ヤード)に非合法に忍び込み、監視の目を盗んで地下鉄に缶スプレーで素晴らしく
絵を描いていった。自分のタグ(愛称)やメッセージを巨大にデザインし描いた作品は、地下鉄と共に
ニューヨーク中を走っていった。
このエアロゾール・アート(グラフィティ)も徐々にクルー化していき、自分達のスタイルを作っていくので
ある。

■主なニューヨークのグラフィティクルー
AMW…America's Most Wanted
AOK…All Out Kings
BC …Bad Company
BSK…Bad Subway Kings
COD…Children of Destruction
CWK…Craft Work Kings
DSA…Dark Side Artists
KD …Kings Destroy
MPC…Morris Park Crew
NWC…New Wave Crew
RiS …Rocking it Suckers
RTW…Rolling Thunder Writers
SV …Subway Vandals
TAC…The Art Crew
TAT…Tuff Ass Team
TC5…The Crazy Five
TC5…The Cool 5
TDC…The Destiny Children
TDS…The Death Squad
TF …True Fame
TFA…The First Avenue crew
TF5…The Fabulous 5
TFP…The Fantastic Partners
TKC…The Killer Crew
TMB…The Master Blasters
TMC…The Mad Children
TM7…The Magnificent 7
TNR…The Nasty Rebels
TNS…They Never Stop
TOA…Top of All
TPA…The Public Animals
UA …United Artist
VIC…Vandals in Control
WS …Wild Style
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■ストンプ!
監督:イアン・イクバル・ラシード 出演:ルティナ・ウェスリー、ドウェイン・マーフィ、トレ・アームストロング他 2007年 アメリカ映画
“親が望むこと” 姉が薬物中毒で亡くなり、お金が苦しくなったので、私立の高校を辞め、地元の公立高校に通いだす1人の女の子。その地区はスラム的な地区で犯罪は日常的に行われており、奨学金をもらい大学に行って、早くこの地域を出て行きたい彼女は、母の夜も寝ないで働く姿を見て、“STOMP”の大会の賞金で少しでも楽にしてあげたいと思う。亡き姉はSTOMPの天才的ダンサーで多くの大会で優勝していた。そんな姉の姿を見て、自分もやっていたSTOMP。勝ちそうなチームを渡り歩き、友達も裏切ってしまう。彼女にとってSTOMPは街を出て大学に行く為の資金作りであり、大学に行く金を作ろうと必死で働く母を楽にしてあげる為の道具でしかなかった。しかし、そんな気持ちで踊っている彼女はあと一歩のところで負けてしまう。仲間に許してもらい、楽しむ為、皆と一体化する為だけに踊った時、本当の喜びを手に入れるのである。スポーツで夢や金やいい生活を手に入れたいという人もたくさんいるだろう。しかし、それは結果的についてくることであって、根本にそのスポーツ自体が好きであったり、仲間と共に頑張りたいという気持ちが無いと、真の成功には結びつかない。“ストンプ!”は、そんなピュアな心を取り戻したい時、見て欲しい作品です。 |
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■メイク・イット・ハプン!
監督:ダーレン・グラント
出演:メアリー・エリザベス・ウィンテッド、テッサ・トンプソン 他
2008年 アメリカ映画
“田舎と都会”
シカゴから何百kmと離れた地に住むダンス好きの少女。母もダンサーを目指していて彼女が10歳の頃に他界。自分が夜遅く帰った日、父が家で倒れていて手遅れで他界。ダンサーになりたいという夢を持ちながら兄と2人で、父の残した自動車工場を守るために働く日々。しかし、3年たって、自分の夢を捨てきれず、1人シカゴに向かう。ダンスアカデミーに通っていると兄に嘘をつき、キャバレーのダンサーとしてダンスを磨く。いつかダンスアカデミーの狭き門に挑戦し、トップになることを目指して…。そんな時、工場の経営がうまくいかない中、兄がシカゴまで会いに来る。ダンスアカデミーで勉強していると信じていたのに、キャバレーで踊る妹の姿を見て肩を落とす兄。父の形見でもある工場を救うためにシカゴから再び田舎に戻る彼女。そんな彼女の夢は?というストーリーなのだが、ストレートに友情、家族愛、夢が描かれていて、すがすがしく見られる作品だった。この作品で「私は田舎者だから…」というニュアンスのフレーズが時々出てくる。僕はこの時代に、田舎に住んでいようが、都会に住んでいようが大差は無いと思う。むしろ田舎だからこそ発信できることだからいい部分もあるのでは?とも思う。音楽の世界でも、沖縄や仙台のアーチスト達がライブの時だけ東京に来て、制作は地元でやるなんて、いっぱいあるし。(仙台はそんなに田舎ではないが、僕の知っている和太鼓グループの拠点・美里町などは本当に田舎だったもので…)自分たちのペースで創作活動をし、世界に向けて発信出来るのだから、ダンスもスポーツも音楽も、どこでやっていても構わないのではないか?と思う。しかし、ただやっていても埋もれるだけである。そこにアイデアや仕掛けが必要だし、苦労もすることだろう。全ての人間が発信者や表現者になれるはずなのだから…。 |
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■8 Mile
監督:カーティス・ハンソン
出演:エミネム、キム・ベイシンガー、ブリタニー・マーフィ他
2002年 アメリカ映画
“ストリートという生き方”
エミネムを世界で不動の位置まで押し上げた、今やHIPHOPムービーの定番となっている作品“8 Mile” デトロイトで黒人に混じり、マイクバトルを戦うエミネム演じるラビット。HIPHOPは黒人文化。白人のラッパー“ラビット”は存在自体が非難の対象だった。しかし、彼を応援する友人達もいて、ラビットの才能も理解していた。安い賃金で黒人に混じり、プレス工場で働き、男に頼って生きることしかしらない母と幼い妹、母の連れ込む男という4人で、市外から8mile離れた貧しい地区でトレーラー暮らしをしていた。ラップで一発当てようという周りの黒人達の嫌がらせを受けながらも、友人、クルー達と共に、信念を貫いて生きていく。ストリートには、いい人間もいるが、相手の才能を使って一儲けしようとする奴がいる。アメリカみたいにバイオレンスな世界では無いが、日本でもそんな人はたくさんいる。クラブイベントのオーガナイザーと称して調子よく寄ってくる人、パーティをやたらと開いたり、出入りしている仲介人。才能をノリだけで使ってしまう人なんてたくさんいる。しかも、何か“オイシイ事”を探しているだけのアーチストもたくさんいる。ストリートは生のバイブスを感じ、自分を磨く場所であり、本当のネットワークを作る場所なのだが、そんな気持ちのかけらも無い人がたくさんいる。ストリートは、何か新しいことをやったり、無名だけど上に行きたい人間が表現する場所。資格などが必要な場所でなく、実力やネットワーク力が必要なのだ。もちろん、良い出会いもあるが、悪い出会いも多い。ストリートでは、相手を見極める力が必要なのである。“8
Mile”に見るストリートの生き方は、ストリートを軽い気持ちで見ている人間への警告でもある。信念を貫く力こそ、ストリートという生き方である。 |
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■SR2 サイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム
監督・脚本:入江悠
出演:山田真歩、安藤サクラ、桜井ふみ、駒木根隆介他
2010年6月26日より全国順次公開
“ある意味リアルな日本のHIPHOPムービー”
低予算でインディペンデントな作品で、ゆうばり国際で賞を獲ったHIPHOPムービーがあると聞いたのと、試写状がかなりインパクトがあったので、試写室に足を運んだ。その作品は“サイタマノラッパー2
女子ラッパー☆傷だらけのライム”
前作は、4度もリバイバル上映というウワサでライムスターのSHIRO君も絶賛していたので、かなり期待していた。オープニングで、サイタマにいそうな間違った2人のラッパーが出てくる?一瞬、え?頭の中に疑問符が浮かぶ。これでいいのか?ストーリーが進むにつれ、さらに疑問符が浮かぶ。トニー谷のようなラップ。田舎臭くて、格好良いHIPHOPのイメージが1つも無い。パキッとクリアな映像。10分位したところで、ちょっと待てよ…と思った。これが、今の日本の田舎のHIPHOPの現実じゃないかと気づく。雑誌や間違った情報で勘違いしているラッパー気取りの人はたくさんいるじゃないか!
しかも、暴走族やヤンキーあがりのラッパー気取りの若者は、地方でたくさん見るではないか! これは、リアルな日本のHIPHOPシーンを表現しているぞ。そう思うと、この作品は見る価値があると急に思えてきた。でもピュアにHIPHOPが好きで、本当にHIPHOPを愛しているんだなと思うと、面白く見ることが出来た。きっと、変にイメージを持って見た自分が間違っていたんだ。心を空っぽにして見ると、とても面白い作品である。空っぽな気持ちで、この作品と向かい合って欲しい。 |
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■TAKI183
監督:小林正樹
出演:塚本高史、忍成修吾、窪塚俊介、加藤ローサ 他
2005年 日本映画
“グラフィティをフューチャーした日本映画”
グラフィティをフューチャーした日本初の映画“TAKI183” HIPHOPの要素の中でグラフィティは外されがちだが、そこにフォーカスを当てたことは大切だと思う。ニューヨークの地下鉄(今はもう無いが)やビルの壁にスプレーで描いた絵やデザイン文字などのことをグラフィティと呼んでいて、B-Boying(ブレイクダンス)、MC(ラップ)、DJと合わせHIPHOPの4大要素と呼ばれている。“TAKI183”とは、NYのグラフィティを始めた人物とも言われており、この作品の冒頭で、彼の説明やグラフィティとは何かをNYから伝えてくれるシーンがある。ストーリー自体は、渋谷を舞台にした話なのだが、“ACC”“トミー”という言葉が出てきて、ひょっとして“TOMI-E”のこと?と食いついてしまった。日本で有名な2大グラフィティアーチストと言えば“カズロック”と“トミー”。ただの落書きでなくて、アートとしてHIPHOPとしてグラフィティを確立させた男だ。音楽も、日本人のMC、DJ達が作り出していて“日本のHIPHOP”カルチャーとして創り出した映画になっている。美術館に飾られないアート。HIPHOPの中でも文化的要素を打ち出す“グラフィティ”。塚本高史演じるトミーが楽しさ、苦悩など様々な気持ちを表現している。日本独自のHIPHOPカルチャーの“明”と“暗”。日本版“ワイルドスタイル”という感じの作品。最近、俺はラッパーだ!!DJだ!!B-BOYだ!!とカルチャーとしてよりスタイルとしてHIPHOPのパーツを解釈している人が多い気がする。この作品でHIPHOPはカルチャーであることを再確認して欲しいものである。 |
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■フラッシュダンス
監督:エイドリアン・ライン
出演:ジェニファー・ビールス、マイケル・ヌーリー 他
1983年 アメリカ映画
“B-Boyの存在が世界に”
決してHIPHIP映画ではないが、この映画が世界中にブレイクダンス、B-Boyの存在を知らせたという事実は誰にも曲げることは出来ないだろう。ジェニファー・ビールス主演の“フラッシュダンス”はバレエダンサーになりたい1人の女性が夢を掴む為、まっすぐに生きていく様を描いた作品である。アイリーン・キャラのフラッシュダンスの曲に乗って街の中を自転車で走り、男に混ざって溶接をしているオープニングが終わると、バーでのダンスシーン。有名な椅子を使って上から水をかぶるあのダンスだ。水しぶきを飛ばしながら、逆光の中、踊っている様子は何十年経っても忘れることは無い。独学でダンスをやってきた主人公は、バレエ団のオーディションを受けようとするが、願書の時点で過去の経歴を書かなくてはならなかったり、自分ひとりだけが貧しい格好だったので逃げ出す。トレーニングが終わり、帰っていくシーンで突然ジャージや革ジャン姿のロックステディクルーが登場し、ブレイクダンスを踊りだす。路地に置かれたラジカセ。流れてくる曲は“IT'S
JUST BEGUN”クレイジーレッグス、プリンスケンスウィフト、Mr.フリーズ、Normski、Frosty Freezeの5名が出演。傘を使ったムーブや、オールドスクールのすごいスピンを見せつける。最後のコンテストのシーンで主役のアレックスがブレイクダンスを取り入れた時の審査員の拍手と笑顔が印象的である。伝統のバレエの中に、ブロンクス生まれのブレイクダンスを入れた時、ダンスが持つ“自由な表現”という幅が広がったことを伝えたかったのだと思う。僕もあのシーンで初めてブレイクダンスを知った。この映画が持つ意味は大きい。B-Boyを世界に発信した映画なのだから。 |
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■ボーイズ'ン・ザ・フッド
監督:ジョン・シングルトン
出演:キューバ・グッディング・Jr、モリス・チェスナット、アイス・キューブ 他
1991年 アメリカ映画
“HipHopのメッセージ「非暴力」”
1984年、犯罪多発地区ロサンゼルス、サウスセントラルのフッド(地区)を舞台にした映画“ボーイズ'ン・ザ・フッド”
アイス・キューブ演じるダウボーイ、アメフトでスカウトも来る弟リッキーと、子供の頃からの友達トレとその父親フューリアスを中心に、非暴力、平和を願って作られた作品である。まずこの作品の注目する部分は、小学生という幼い時代と青年期の2つの時代を描いていることである。ストリートギャングの若者を描いている作品はたくさんあるが、幼少期を描くことで、黒人達が抱える問題を美化せず、核心を伝えようとしている。子供の頃、撃たれた死体を見たり、ヤク中の人、刑務所に入っている親を見て育つと、特別なことが当たり前になり麻痺していく。そんな中、トレの父フューリアスが“人生とは何か”を教えていくことで、本当の普通の生き方を教え、正しい人生に導いていく。ギャングラップやギャングファッションでスタイルを美化しているのでなく、男の本当の生き方を教えようとしている。HipHopというカルチャーの中で、“非暴力”を訴えてきたDJやラッパーも数多く存在する。この作品は、そんな“ピース”を訴える真のHipHopムービーである。強く自分を見せたがる若者達も、本当の男の強さというものを学んでほしい。HipHopのメッセージを表面的に受け入れるのではなく、一度しっかり頭と心で考えて、真のメッセージを受け取ってほしい。ジョン・シングルトン監督がこの作品を世に出した理由もきっとそこにあるはずだから。 |
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■ザ・ウォッシュ
監督:D・J・プー
出演:ドクター・ドレー、スヌープ・ドッグ 他
2001年 アメリカ映画
“ウエッサイの完全HIPHOPムービー”
スヌープ・ドッグとドクター・ドレーの映画。言ってしまえば、彼らのPVの世界にある、女とクスリと車と音楽に包まれたウエッサイムービーだ。イメージそのまんまである。ローライダーにドラッグ。洗車屋で働く2人がTバックビキニの女を自分達の店で働かせたり、ヤレそうな女とヤリまくったりとウエッサイイメージそのままである。さらにHIPHOP専門FM局から2人のサウンドが流れ、プロモーション的要素も強いのかな?とも感じられる。率直に言うと、“アメリカングラフィティ”のウルフマンジャックラジオショーが、ロックンロールでなく、HIPHOP専門局でブルースブラザース的感覚をブラックカルチャーにした映画と言えばイメージがわくでしょうか?とにかくウエッサイのハードコアなにおいのあるバカバカしいマヌケムービーです。HIPHOPを娯楽やファッションとしている西海岸の人達やスヌープやドレー好きな人が見ると、ライフスタイルが伝わってくる作品として楽しめると思います。ケンカやスラング大好きな人にはリアルに伝わってくる会話や言い回しがたくさんありますが、実際にアメリカでこんな言葉で会話したらすぐに揉め事に巻き込まれてしまうと思われます。西のウエッサイHIPHOPを感じるにはストレートに感じることのできる作品です。 |
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■ダンス・レボリューション
監督:ビリー・ウッドラフ
出演:ジェシカ・アルバ、メキー・ファイファー、リル・ロミオ 他
2003年 アメリカ映画
“子供を信じてあげる心”
ニューヨークの空撮とリズムの効いたラップミュージックとクラブから始まる“ダンス・レボリューション(原題HONEY)”。CDJから繰り広げられる音楽とHIPHOPダンス。クラブの1歩外に出るとB-BOY達のブレイキン。金や変な争いも無く楽しい世界が広がっていた。でも彼らは札付きの悪とされていて、警察が来るとBMXで逃げていた。主人公のハニーはセンターでダンスを教えている。バスケ、インライン、BMX、HIPHOPダンス、ブレイキン…ストリートのカルチャーがつまりまくっている。ギャングに憧れているが、ダンスの才能のある少年と出会った彼女は、少年に自分のスクールに来るように勧める。ヤクの売人の手先のように使われていた少年。プロモーションビデオの現場に連れて行ったりして、ダンスには“夢”があることを体感させていくと、少年は徐々にギャングから離れ、“夢”を追いかけようという気持ちが芽生えていく。しかし、父からの暴力、業界を仕切っている人からあっけなく切られたりすると少年は“夢”を持つことに失望し、ギャングに戻っていく。しかし、彼女はそんな子供達の集まれる場所を作ることを目標にチャリティライブを行なう。このライブで“夢は自分達の力でつかめる”ということを学ぶ。子供達の才能を信じ、大人達がその環境を作ることの大切さを、この映画は教えてくれる。格好よいものに子供達は憧れる。“ダンスやスポーツは格好よい”“人のために何かをすることは格好よい”など、大人が子供達をひっぱれる存在になって示していかないといけないのだと痛感した。特別なことではなく、生活の中から自然に何かを伝えられる大人になりたいと思わせてくれる1本です。作り的にはティーンエイジャー向けに作られている作品だと思うのですが、是非大人に見てほしい作品。子供達を信じてあげる心、あなたは忘れていませんか? |
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■ザ・ショウ
監督:ブライアン・ロビンス
出演:ドクター・ドレイ、ノーティバイネイチャー、ランDMC、スヌープドギードッグ他
1995年 アメリカ映画
“90年代前半のHipHopシーンが分かる1本”
85年、ラッセル・シモンズが設立した“Def Jam”レーベルの10周年を記念したHipHopドキュメンタリー+ライブ映画である。ラッパーを中心に、しかもデフジャムレーベル中心に描いた作品だが、90年代ラップというカルチャーが大きく変化していく様子が手にとるように分かる作品である。ドクター・ドレイ、ランDMC、スヌープ、ウォーレンG、ウータンクランなど、この時代アメリカをにぎわしたラッパー達の考え方や素顔を見ることが出来る。スヌープの裁判や過激な発言など、HipHopが持つ“ストレートな発言”“ストレートな表現”が出てくる。自殺、ギャング、殺人、ドラッグ… ヒップホップは自分達の現状を外に伝える手段として、彼達が使っていたことは間違いない。もちろん、音楽ビジネスとして拡大して、マーケティングの中から“POP”になっていったものも多いが、この頃の“HipHop”は自己主張の場として、完全に成立していた。ウータン・クランが来日しているシーンの中で、ライムスターのマミーDが渋谷でフリースタイルをしているシーンも入っていて、日本のHipHopの初期を一瞬垣間見ることが出来る。HipHopがカルチャーとしてだけでなくビジネスに変わっていくそんな時期の勢いと問題点、可能性などを浮き彫りにした作品である。90年代前半のヒストリーを確認するという意味でもチェックしておきたい1本である。 |
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■YOU GOT SERVED
監督:クリス・ストークス
出演:オマリオン、マーカス・ヒューストン、ジェニファー・フリーマン 他
2004年 アメリカ映画
“圧倒されるダンスシーン”
オープニングから圧倒されるようなダンスバトルで作品に引き込んでいく。全編“B-BOYING”のチームメイトの友情のストーリーなのだが、悪ながら、ダンスで、生活や気持ち、友情の大切さを手に入れていく話である。数チーム出場するのだが、それぞれのチームにスタイルがあって面白い。既存のチームかと思っていたが、この映画のキャスティングで、1からオリジナルということに驚かされた。コリオグラファーの人のネタの多さにびっくりしてしまう。ネタのバリエーション、コミカルにバカにしていく感じ、まるで本当のバトルの迫力がある。撮影中に、負けるはずのチームが押しすぎて、撮影を中断したというエピソードもあるそうだ。ブレイクダンスのバトルの面白さの全てが見られる1本である。さらに、ストリートバスケやLAスタイルのストリートファッション、ストリートの若者の問題などストリートカルチャーをふんだんに盛り込んでいて、B-BOYING、ブレイクダンスのチームバトルやその考え方を見る第一歩として見たい人にはオススメの1本です。 |
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■STEP UP2〜THE STREET〜
監督:ジョン・M・チュ 製作総指揮:アン・フレッチャー
製作:アダム・シャンクマン他
出演:ブリアナ・エヴィガン、ロバート・ホフマン 他
2008年 アメリカ映画
“B-BOYINGは全ての人のもの”
前作“STEP UP”は、B-BOYNGやHIPHOPダンスの世界に生きてきた男の子と、バレエダンスの世界に生きてきたお嬢さんが、ダンスを通じて住んでいる世界を超え、1つになっていく融合の素晴らしさを教えてくれたダンスムービーだった。この作品の第2弾はどんな作品だろう?と思ってみたが、まったくの別ものだった。これは“B-BOYING”は全ての人の“自由”を表現するダンススタイルだと教えてくれる1本。ストリートでワイルドに生きている人が“リアル”で、学校に行っている人はB-BOYになれない訳じゃない。自由にダンスで表現し、友達と1つの目標に向かって何かを創り出そうとしている人全てがB-BOYになれるということを教えてくれる。B-BOY
No.1を決める“BC ONE”の世界大会でニューヨークに行ったが、そこは本当にフレンドリーな空間でバイオレンスのにおいなど無い。“B-BOYは怖い”みたいな変な空気が流れているが、“B-BOYING”は全てのブレイクダンスを愛し何かを創ろうとしている人達のものだと教えてくれる作品だった。作品のカラーリング、色やトーンも好きな作品だし、HIPHOP、B-BOYINGのパワーがあふれている気持ちの良い1本です。 |
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■プラネット B-BOY
監督・制作:ベンソン・リー
配給:トルネード・フィルム+イーネット・フロンティア
2010年1月9日〜渋谷シネクイントにてレイトショー
“カルチャースポーツの真髄を見よ”
世界三大B-BOYバトルの1つ、バトル・オブ・ザ・イヤーのドキュメンタリー映画
“プラネットB-BOY”
B-BOYとは、ブレイクダンスをする人のことを言うのだが、この大会はクルー対抗バトルである。フランス・アメリカ・日本・韓国のチームがフューチャーされていて“個”が強いストリートカルチャーにおいて、“チームのつながり”と“HIPHOP”という文化への尊敬の念が詰まった1本である。
それぞれの“生き方”と“世界大会”。
アスリート的一面が強くフォーカスされている作品だが、カルチャーとしての部分もそれぞれの国民性も含め、しっかりと描かれている。
NewYorkで個人のB-BOY世界一決定戦“BC ONE”を生で見て撮影をしてきたが、B-BOYバトルの面白さは人生や考え方がストレートにダンスに表れてくることであろう。規定が無い分、自由に発想できるこのジャンルでは、それぞれが新しいスタイルを追い求めている。
物まねでなく、自分達のスタイルを創り出し、創り上げたチームが世界一をとることができる。規定が無い中で勝敗をつけるのは難しいと思うが、気持ちのぶつかり合いを楽しく見る事ができた。まさにエクストリームスポーツであり、エンターテイメントショーだ。
NewYorkブロンクスで生まれたHIPHOPカルチャーの1つ“B-Boying”が、しゃべらなくても人に伝えることのできるエンターテイメントツールだということ確信させてくれるドキュメンタリー映画“プラネットB-BOY”
この1本を見てカルチャースポーツの真髄を知ると良いだろう。 |
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■ビースティ・ボーイズ撮られっぱなし天国
監督・製作:ナサニエル・ホーンブロウワー(ビースティ・ボーイズMCA)
出演:ビースティ・ボーイズ(マイクD、アドロック、MCA)、ミックス・マスター・マイク、マニー・マーク、アルフレッド・オルティズ 他
配給:アスミック・エース
2006年7月公開
“ビデオの申し子 ビースティ・ボーイズ”
ビースティ・ボーイズの僕の印象は、“HIPHOP界のビジュアリスト”というイメージである。PV(プロモーションビデオ)においても常に新しいアプローチをしている。
遊びっぽい感じで楽しめるPVは、ビースティのストリートで楽しいイメージを作り続けている。
今回、そんなビースティ・ボーイズのライブが映画になるというので試写会に行った。
2004年10月9日、NY・マジソン・スクエア・ガーデンのライブをファン50人が勝手に回した50台のビデオカメラの映像を編集し作り上げた作品だという。
50台のカメラの1台1台の映像を並べた1枚の絵。
秋葉原の電器屋に積み上げられたTVのモニターをイメージしてもらうとよいだろう。
ライブのスタートは、そんなところから始まる。
熱狂のマジソン・スクエア・ガーデン。
必死なファン目線のカメラ。
客で有名人を見つけるとライブそっちのけでその人を撮る人もいるし、バックステージに忍び込もうとする人もいる。途中トイレに行って自分の放尿シーンを撮っている者もいる。まさに“LIVE”だ!!
そんな映像を編集したナサニエル・ホーンブロウワーも素晴らしい。
途中飽きそうなところもエフェクトで面白く編集され、限りなくアマチュアイズムというかブートレックな映像を、1本のエンターテイメント作品としてまとめ上げている。
僕も武道館のライブで十数カメ出すが、それはプロのカメラマンが僕の指示を受け、撮っているから編集もやりやすいというもので、こんな無指示で、コンセプトもバラバラな映像をよくまとめたな〜と驚きを隠せなかった。
ともかく、この作品を見て、ビースティ・ボーイズの魅力がさらに増した。
自由度の高いライブ映像。
日本でもこのような企画が通るようになれば、もっと面白い音楽映像の世界が広がるはずだ。
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■GET RICH OR DIE TRYIN'(ゲット・リッチ オア ダイ・トライン)
監督・製作:ジム・シェリダン
音楽:クインシー・ジョーンズ
出演:カーティス“50セント”ジャクソン、テレンス・ハワード 他
配給:UIP映画
2006年6月公開
“Gスタイルと50セント”
1本の映画“8mile”で、エミネムがフィルムを通して世界に知れた白人ラッパーなら、50セントは“ゲット・リッチ オア ダイ・トライン”で世界中に名を売るラッパーであろう。同タイトルのCDは世界中で1200万枚以上売れた。
NYのクイーンズ生まれの50セントはGラッパー(ギャングスタラッパー)として世界中に名を馳せた。貧しくてドラッグ漬けで、殺しも日常というクィーンズで、9発の銃弾を浴びても死ななかった男。昔から2パックの殺害といい、HIPHOPはギャングと結びついていた。
ラップという音楽が、サクセスストーリーを生み出すものとして信じている若者も多いはず。日本も多くのGスタイルのラッパーがいるが、アメリカ人たちのリアルな苦しい生活から生まれてきた“本物”とは少し違うのかもしれない。
面白いのは、監督が社会派のジム・シェリダンであるということ。
“父の祈りを”などの社会派の監督だからこそ、50セントの心の琴線に触れるストーリーを生み出すことができたのだろう。
そして、音楽がクインシー・ジョーンズであること。50セントの今のHIPHOP音楽とアメリカンPOPSから映画音楽まで、アメリカの音楽シーンの中心で活き続けるクインシー・ジョーンズが融合したというのが、さらにこの作品をスケールアップさせている。
そして、監督ジム・シェリダンと50セントを引き合わせたのが、U2のボノであること。ロック界の重鎮が関わっているというのも興味深い。
作品の中で特に気に入ったのが、影の使い方がうまいところ。
この手の作品でパキッと見えてしまうとテレビドラマ的なチープな感じを受けてしまう。
そして、ストーリーの巧みさで、ぐいぐいと作品の世界観に導かれること。貧しさ、そして希望という名のラップミュージック。音楽の持つ魅力に引き込まれていく。
この映画は、単なるGスタイルラッパーの話ではない。貧富の差に悩むアメリカの社会を見つめ直し、そこから出て来た強い光“50セント”を通して、若者に、生きる勇気や自分の道を探すことを訴えている作品である。
運命に導かれた50セントの生き方から、意志の強さを受け取ってもらいたい作品。
“金持ちになるか?死ぬか?”
人生は常に白黒をつけて生きる博打なのかもしれない。 |
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■Block Party
監督:ミシェル・ゴンドリー
出演:ローリン・ヒル、カニエ・ウェスト、エリカ・バドゥ、フージーズ、デイヴ・シャペル 他
配給:エイベックス・エンタテインメント
2006年11月公開
“HIPHOPの真髄を見よ”
HIPHOPの起源こそ、“ブロック・パーティ”にあったと言われている。
Block…日本流で言うと“町内会”とでも言っておこうか?
そのBlockのパブリックな公園にターンテーブルを2つ置いて同じレコード2枚をかけ、同じフレーズでつないでいく。それがブレークビーツの始まりだそうだ。
楽器も買えない貧しいスラムで始まったブロック・パーティ。
そんなところから、オリジナルサウンドが生まれ、HIPHOPというカルチャーが始まったということを、友人のNYのドライバー“ドナルド”から聞いたことがある。ドナルドはブロンクスに住む黒人で、昔、童子-TとDJ
BASS、そしてGM-KAZとNYに撮影に行ったことを思い出す。僕達はハーレムの屋上にターンテーブルを持ち上げ、撮影を兼ねたパフォーマンスをした。この時の屋上を貸してくれた奴が、柔道をやっていて黒帯という、ドナルドの友人だった。ドナルドは“DKNY”の看板を指し、“Donald
Knows New York”と言ったことを覚えている。ブロンクスを歩いているとYellowのドレッドの2人、童子-TとDJ BASSを見て、物まね野郎的なことを言われ石を投げられたこともあった。黒人にとって、NYにとって、ブロック・パーティとは身近なものなのである。
さて、この映画“Block Party”は、2004年9月18日のアメリカンスーパーコメディアン・デイヴ・シャペルが企画製作したブルックリンのブロック・パーティの当日及びその準備をフィルミングしたドキュメンタリー映画である。
まず面白いところは、HIPHOPはカルチャーであるという土台の軸がまったくぶれないこと。遊びの中からサウンドを作る人、押し込められた生活への反発のエネルギーをむき出しにする人、いろんなHIPHOPの形があるが、ドキュメンタリーならではの本音をデイヴが引き出している。
そして、臨場感あふれるライブシーン。客へのダイビングやオーディエンスの熱狂もハンディのカメラでぐいぐい寄っていく。望遠のレンズだと対象物にフォーカスがあたっていても周りがぼけてしまう。接近戦のハンディだからこそ、普通にその場で見ている感じで見えるのだ。
カニエ・ウェスト、モス・デフ、エリカ・バドゥ、フージーズと、大物アーチストのLIVEを目の前で感じている気分になれる。
強いメッセージもあるが、コメディアンのデイヴのジョークでかしこまらずリラックスして見れるのもまたGOOD!!
HIPHOPの面白さがつまった1本である。 |
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■boss'n up
監督:プーク・ブラウン
出演:スヌープ・ドッグ、リル・ジョン、シャレー・アンダーソン、ホーソン・ジェイムズ 他
配給:B.B.B.inc.
2007年2月公開
“Snoopの世界とブラックカルチャー”
ブラックカルチャーを語る時、ゲットーやピンプ、メイクマネーとHIPHOPでよく耳にする言葉が、日本にいるとなかなか理解できない時がある。
そこまで極貧生活をしている人も多いわけではなく(中にはいるのだが、表面的には)そこからはいあがってスターになった人がいるわけでもなく(実はいてもマスコミに言うと日本ではお涙頂戴の世界になってしまうから)彼らの世界がよく分からないと思う。
今や、説明も不要なくらい有名になったG-FUNK ギャングスタラップのKING“Snoop Dogg”彼自身デビュー前はドラッグの売人だった。
そして、この映画はSnoopだけでなくLil' JohnやTrinaなどHIPHOPで有名なプロデューサーやアーティストも役者として参加している。
ピンプという言葉は“ピンプ・マイ・ライド”などでブラックカルチャーもので普通に使われているが、日本語で言うと“ヒモ”であり、“女で金を作る噛ませ犬”であり“クロい男のビジネス”である。
ゲットーの若者は、バスケかラッパーか売人かピンプでメイクマネーする。この4つの中で、ピンプは特に顔もトークもセンスも必要とされる。
しかも、Snoopは若い頃クリップスのメンバーであった。分かりやすく言うと“青ギャン”である。裏社会を知り尽くしたSnoop Doggだからこそ作れた映画である。まさに、HIPHOP的ゲットーの成り上がりストーリーである。
HIPHOP好きなら、この作品をカルチャーとして楽しむことができると思うが、そうでない人は、ビデオクリップ的なブリブリの画質とHIPHOPミュージカル的な音楽を楽しみながら見て欲しい。
“8mile”的な優等生的部分はまったく無いので、抵抗ある人も多いとは思うが、ブラックカルチャーとSnoop Doggを感じるにはストレートな作品である。 |
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■JUST FOR KICKS
監督:ティボ・ドゥ・ロンジェヴィル
出演:DMC、ラッセル・シモンズ、グランドマスター・カズ、ミッシー・エリオット 他
配給:プレシディオ
2007年5月公開
“ストリートが歴史を動かす”
映画“JUST FOR KICKS”はスニーカーの映画である。たかが運動靴、されどスニーカーである。
70年代半ば、HIPHOPのオールドスクールJDLことジェリーDルイスやCAZこと重鎮のグランドマスターカズ、さらにはブレイクダンサーの象徴ロックステディクルーのケン・スウィフト達など、ブロンクスを中心としたB-BOY達が愛用していた頃から物語は始まる。
HIPHOPは個性を表すカルチャーである。もちろん彼らもそのカルチャーの代表的存在だけあって、ただスニーカーを履いていた訳ではない。カラフルな靴ヒモ、極太のひも、さらにはペイントしてオリジナルアイテムにしていた。
このスニーカーシーンを変えたのは、RUN-DMCである。有名な曲“MY ADIDAS”刑務所で首を絞めないように靴ヒモを外し、ベロ出しスタイルでadidasのスーパースターとジャージ。あの写真は僕の記憶にもしっかり刻まれている。メンバーの兄であり、Def
Jamのトップである“ラッセル・シモンズ”のアイデアだということだが、この後スポーツ選手としか契約したことのないドイツのメーカーが、100万ドルで契約することを予想していたのだろうか?
その後、リーボックと50セントが契約したり、adidasと契約したミッシー・エリオットがフェラーリを改造しadidasのシューズカーにしたり、HIPHOPとスニーカーは切っても切れないものとなる。
さらに、グラフィティの世界で、フューチュラがスニーカーとコラボレーションしオリジナルモデルを出したり、HIPHOPとスニーカーが新しいファッションを作り出すようになった。
30兆円というスニーカー産業も80%はタウンユース、つまり、ファッションとして使用されているのである。
もちろん、アスリートの影響も大きい。マイケル・ジョーダンはNBAが白のスニーカーでなくてはいけない時代に、赤と黒のエアジョーダンを履いて、罰金を払い続けた。スパイク・リー映画に欠かせないめがねキャラ“マーズ”とのCMも反骨精神の固まりだ。
ストリートボーラーのカリスマ“ボビー・ガルシア”もスニーカーシーンを作った1人であろう。
そんなストリートのパワーがあふれ、企業を動かした。
彼らのオリジナルスタイルはストリートカルチャーの限りない可能性を感じさせてくれる。とにかく画面がPOPで可愛い。おしゃれでパワーを感じさせてくれる楽しい作品である。 |
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■STEP UP
監督:アン・フレッチャー
出演:チャニング・テイタム、ジェナ・ディーワン、マリオ・ドリュー 他
配給:エイベックス・エンタテインメント・松竹
2007年3月公開
“夕陽にジャンルはとけていく”
バレエとHIPHOP。伝統と破壊。上流階級とゲットー。厳格なステージとストリート。
とにかくこの作品は、対極的な2人の主人公が融合することがすべてである。
まずは、アメリカのアートスクールとゲットーのクラブ。
アメリカのアートスクールはよくアメリカの映画やドラマの題材になっている。例えば「フェイム」とかがそうだが、上流階級の人達だけでなく、貧しくても奨学金で入ってきた生徒達がダンスやアート、音楽という夢に向かって邁進している場所である。
一方、ゲットーのクラブは、夢を持たない若者の溜まり場として表現されている。
この差がテーマになっていて、そこから抜け出し、夢の場に行くというストーリーなのだが、ゲットーからでも夢をつかむことはできるのでは?と思ってしまった。
この作品の監督はコリオグラファー、振付師出身の人だそうだ。だからこそ余計に、そんな人達がいっぱいいることを知っていると思うのだが…。
中盤のシーンで、アートスクールの女性とゲットー出身で社会奉仕中の男性が夕陽に染まる海辺で踊るシーンがある。あれがエンドシーンであればよかったのに…。あとは、夢をスクールで追いかけるには?とかダンスアカデミーに入るために頑張るとか、ひかれたレールの上をただ進んでいくだけ。オリジナリティを追求していく姿は中盤で終わってしまう。優等生が正しいと言われている気がして少々悲しくなった。
全体的なストーリーはわかりやすいし、ダンスの良さはいっぱいあるけど、本当に融合したのか?と思うと少々疑問が残る。
エンドロールに一般のオーディションで勝ち残った人達がダンスをしている映像が出てくる。これは面白い試みだと思う。
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